2006年05月30日

ブラックボード

ブラックボード 〜背負う人〜   DVDあり


ストーリー  DVDジャケット引用

舞台は戦火激しいイラン=イラク戦争の国境地帯。爆撃で学校を失った教師たちが、背中に黒板を背負い、生徒を求めて教師のいない村を回っている。そうして旅をする彼らが出会うのは、故郷の村に帰るため、イラクとの国境を目指すクルド人たちの一団や、イラクとイランの間を行き来し、命を危険にさらしながらヤミ物資を運んでいる子供たち。過酷な現実の中、彼らはともに旅をすることで少しずつ心を通わせていく。だがイラクの国境に近くに達したそれぞれの一行はイラクの凄まじい銃撃にさらされることになり・・・。






イラン映画は侮りがたし。もうかれこれ7,8年くらい前になるが、「桜桃の味」という映画を観た。『自殺願望のある男が手伝ってくれる人間を探し、車を乗り回す。』話としてはただそれだけで、ほとんどは車中からの風景と乗り合わせることになった人物との会話で構成されている。けれども、その頃観たどの映画よりも訴えかける力の強い作品だった。もしもすこしでも「死にたい」考えることがあったなら、この作品を見て欲しい。きっと何かの助けになると思う。



イランは日本とは比較にならないくらい貧しい国だ。しかし、そこに生きる人たちの生命力の強さ、情の深さ、情緒の豊かさは遥かにこちらを勝っているように感じられる。



映画の始まりのあたりで老人が教師に届いた手紙を読んでもらうシーンがある。老人には文字が読めない。しかし、何語かすら判らず教師にも解読不能である。教師は口にする。
「多分こう書いてあるんでしょう。『父さん 元気ですか』」
老人は手を広げ「元気だ」と答える。
「その後は多分こうじゃないかな。『母さんにもよろしく』たぶんね。その後に、『さよなら』と書いている。」
老人、「金に困っているんじゃないか?」
「今 読んであげる。大丈夫だ。『イラクのお金を少し持ってる』って。
老人は「息子は刑務所にいる。」という。教師はすぐに帰ってくると励ます。

本当のことなんて分からない。けれど、必要なことはそんなことじゃないんだ。



この映画では三つの世代を描いている。教師(青年)、故郷を目指す老人、ヤミ物資を運ぶ子供たち。教師は自身が生きるため、周りの人々の為に勉強を教えようとする。けれど老人は耳を貸さないし、子供たちはそれどころじゃない。教師は彼らと旅をすることで心を通い合わせていく。勉強受けたがる子供も現れるようになる。



作品の中で、ブラックボードは様々な使い方をされる。ある時は攻撃から身を守る迷彩になり、病人を運ぶベッドになり、けが人の為の添え木となり、教師の結納金にもなる。この映画のブラックボードは黒板としてだけではなく、今に柔軟に対応する。未来への投資がすべてに勝る訳ではなく、かといって軽んじられる訳でもない。ブラックボードが黒板としてのみ使われる状況が一番の理想であるが、理想とかけ離れた状況でさえ、そこで黒板としても使われることに感動を覚える。



ラストショットの黒板に書かれた文字は心に残るものです。必見。



監督はサミラ・マフマルバフ。父親のモフセン・マフマルバフはキアロスタミと並ぶ有名な監督さん。(モフセンさんの「パンと植木鉢」はオススメ)彼女の妹も弟も映画作りに携わっている完全な映画一家で、この作品を作った時、彼女は19才!とてつもない才能である。

DVDジャケットの裏に提供、オフィス北野と書いてあり「なぜだろう?」と考えていたのだが、このサイトを見て氷解する。
http://www.office-kitano.co.jp/blackboards/index.html
当初40分フィルムのはずが、長編となり不足の製作費をオフィス北野も一部出資しているそうだ。

プロダクション・ノート引用
http://www.office-kitano.co.jp/blackboards/pressdate/pronote2.html
〜一方、北野作品を成功させてきたオフィス北野は、1999年に創設された関連会社ティー・マークを通 してアジアの若手監督をサポートするプロジェクトを開始。『ブラックボード −背負う人−』に次いで製作した中国映画「プラットホーム」は2000年ヴェネチア映画祭で最優秀アジア映画賞を受賞している。〜

いい仕事しているなぁ。こういう形の国際貢献って素敵だと思う。
posted by ねこめ〜わく at 21:23| Comment(0) | TrackBack(1) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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