2006年12月10日

硫黄島からの手紙

 硫黄島からの手紙

 この映画を、なぜ日本人の手によって製作出来なかったのだろう? 自分たちの話なのに、終ぞこれほど自然な物語は生まれなかった。

 結局、今まで作られた作品の多くが当時と正面から向き合わなかったのかもしれない。

 一年ほど前になるかな。相手さえ映せない脆弱なメンタリティで語られた戦争映画が、キャッチーな広告に乗って業績を残した。コマーシャルに映るのは死にゆく兵士たち。ヒロイックなBGM。「.泣いて気分をリフレッシュ」ってブームだったもんね。でも、それって戦争を映しているのかな?人の生き死にが関わっているとはとても思えないマイルドさで、劇場から一歩脚を踏み出せば忘れてしまう。それ以前に作られた○―レライも亡国の某も同じだった。要は軽い。その時だけ浸って楽しめるほど、軽い。

 「硫黄島からの手紙」で描かれる戦争はそうではない。過酷で、惨めたらしく、目を背けたくなるほどの地獄絵図だ。にも関わらず、この作品は僕たちに目を逸らすのを許さない。なぜなら、彼らには切なる理由があるから。そして、たとえ僕たちがその時代に生きていたとしても、同じことしか出来ないことが分かるから。

 正直、観るのが辛い。不条理であるし、何の望みも無い。ひどく滑稽で、それでいて悲しい。僕たちにできることはこの記憶を忘れずにいることだけだと思い知らされる。

 この映画には過去と向き合わない平和思想も地に足の着かない民族主義も無い。最高の反戦映画だと思う。
posted by ねこめ〜わく at 13:09| Comment(0) | TrackBack(1) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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