2006年05月29日

ラルジャン

ラルジャン   DVDあり

監督、ロベール・ブレッソン。無駄なく、シンプルを良しとする作風の監督さんです。枝葉が取り除かれた分だけ本筋の展開が長くなるので、あらすじは書きません。


この監督の作品は、特に「作者が神に成り代わり最終的な英断まで下してしまうハリウッド的映画」ではなく「ストーリーを語ることでそこにある問題を顕在化させる映画」なので、あらすじを書いてしまうことが映画本来の魅力を殺してしまうことになりかねいという理由もあります。観て自身で考えることを要求する映画なので、先入観を持つのはもったいない。(無論、ブログ作成者がものぐさであることが一番の理由ではありますが)



題名はl’argent(1、銀貨 2、金銭)。
登場人物の一人が「お金、目に見える神」と口にするのですが、本作で描かれているのは一枚の贋札が引き金となる負の連鎖反応です。


お金は目に見えるものですが、それは見えない信用によって成り立っています。誰もがその価値を信じなくなった時、それは単なる紙切れに過ぎない。この世にあるほとんどのモノと交換が可能であるのに、人の意思あってこそ成り立つ「魔法」のようなもの。この作品で描かれている贋札はそんなお金、お金を信じる意思の危うさを象徴しているように思えます。


身なりが立派なら(金持ちそうに見えたら)その人は本当に嘘つきじゃない?

みんなが買うものは絶対に間違いがないものなの?



また、境遇がいかにお金に対する価値観を変化させるのか?も結果的に描いています。当たり前のことですが、お金に対する価値観は人により千差万別。だからお金(お金が意味する人の欲)は計り知れない。面白いし、怖い。



計り知れない繋がりで一つ。本作の主演男優クリスティアン・パティは、この当時、高校の数学と化学の教師で役者ではありませんでした。しかし、この俳優さんの得体の知れなさは本作の魅力をより大きいものにしています。日本の役者さんでいうと浅野忠信のようで、実際のところ何を考えているのか分からない感じがたまりません。(でも、やっぱり浅野さんの方が華はあるけど)



どうでもいいことですが、以前、香港に行った際、そこで出回っている贋硬貨と本物の見分け方を教えてもらいました。真ん中の金属が抜けるのが贋物、抜けないのが本物。あまりに杜撰でシンプルなことに衝撃を受けたのですが、現地の人は嵌め直して普通に使っているそうです。どのようなバランスが働いているのかは分かりませんが、問題(信用不安等)は無いそうです。価値の低い硬貨だったからかもしれません。今はどうなっているのか分かりませんが、ふと思い出しました。



最後に、取り上げたことに他意は無いのですが、この映画でもブルジョワさんは酷い描かれ方をしています。

でも、これはフィクションです。

僕は偏見を持っていません。
ブルジョワさん、恥ずかしがらず、どしどし、僕のお友だちになって下さい。



posted by ねこめ〜わく at 22:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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