強盗の失敗がバスジャックに発展。現場の確保も出来ぬまま、警察、メディア、一般人、特殊部隊がワラワラとバスを取り囲む。おまけに報道規制も出来ていない。
事件の規模以上に背後にある社会問題の根深さを感じさせる作品。
本当に怖いのは悪循環が正常に機能することだ。
存在を抹殺されたストリート・チルドレン
最底辺の仕事と認識されている警官
警察内部の腐敗
その中に存在する死の部隊
それを支持する「普通」の人々
鬱積した矛盾が蒸し暑さとなって伝わってくるようだ。
ラストに残されているありきたりな悪意は見る者すべての背筋を冷やすことだろう。
ただ一つ、残念だったのは民衆を煽ったワイドショーの存在、メディアの未成熟性が描かれていないことなのだが、
それを描けば主題がブレるかも知れず、
また、どっかのポジションに立たなくてはここまで突っ込んで描けなかったのかも知れず、
そこんとこは別に補うとして、傑作。